ひんやりとした空気が、寒さにまだ慣れないからだを刺激する。
10月下旬の早朝、奥多摩湖に蒸気霧(湖霧)が発生していた。水よりも空気が冷えると発生する、秋冬独特の光景だ。
この時期になると、湖周辺の景色は大きくその様相を変える。秋雨前線が通り過ぎた空は青く透きとおり、木々は冷え込みが厳しくなるにつれて暖色を増していくのだ。
彩色豊かに変化する奥多摩湖の風景
東京都奥多摩町から山梨県丹波山村・小菅村にまたがる周囲45kmの人造湖、「奥多摩湖」。別名「小河内ダム」とも呼ばれ、都下1400万人の飲み水として重要なインフラの役割を担っている。
JR青梅線の終着「奥多摩駅」からバスで約15分とアクセスも良く、秋の行楽シーズンは多くの人が訪れる。家族連れやカップルはもちろんだが、雲取山、三頭山、御前山といった山々も近く、アルピニストやハイカーの姿もよく見かける。今年は鬼滅の刃の影響もあるのかもしれない。
モミジ、サクラ、イチョウ、カエデといった樹木が、季節の移り変わりとともに、山々に彩りを添えていく。周囲の山々の紅葉が、まるで鏡のように湖面に映し出される景観は、思わず息をのむ美しさだ。
2019年度は復旧の1年に
2019年10月12日、過去最大クラスの台風19号が関東に上陸した。奥多摩町では一日に600ミリもの雨が降り注ぎ、日原(にっぱら)街道(都道204号)の一部が崩落。仮設道路が設置され通行止めが解除されたのは、今年の5月になってからだ。
奥多摩湖には上流の河川から流木や土砂が流れ込み、茶褐色に混濁。人の手で流木を撤去する作業が日々続き、復旧の1年となった。台風から1年が過ぎ、湖水も透明感を取り戻した。
4回も台風の訪れた昨シーズンと異なり、今年は台風の到来がほとんどない。塩気のある水を運んでくる台風は紅葉をくすませるが、影響を受けなかった今年はチャンスだ。紅葉シーズンは、多くの観光客で奥多摩が賑わうだろう。
2020年度の紅葉の見ごろは?
「日本気象協会」によると、「11月までの気温は全国的に平年並みか高く、朝晩の冷え込みも平年に比べ低いため、今年の紅葉見ごろ時期は、平年より遅れる所が多い」という。
奥多摩湖の例年の見ごろ時期は、10月下旬~11月中旬。
こいたま編集部が2020年10月25日(日)に訪れてみたところ、山の斜面のところどころが色づく程度だった。「見ごろ」とはまだまだほど遠い。
色鮮やかに染まる見ごろは、11月中旬〜下旬と予想。山頂付近は11月初旬から色づくため、登山する方は早い時期から楽しめるだろう。
1年前の面影はどこに行ったのだろう?
透けるような青空とエメラルドグリーンに生まれ変わった湖面を見て、自然の脅威と生命力とを、まざまざと見せつけられた気がする。
惨事から一転、さらに美しく生まれ変わった奥多摩湖。心が洗われるような自然の造形美を楽しみたい。
11月中旬頃の様子はこちら↓
https://koitama.tokyo/autumn-leaves-and-sunset-of-lake-okutama
奥多摩湖の詳しい情報はこちら
- 住所:東京都西多摩郡奥多摩町原
- アクセス:
【電車】JR奥多摩駅からバスで約20分奥多摩湖または大麦代下車すぐ
【車(高速)】圏央道「日の出IC」または「青梅IC」から国道411号(青梅街道)経由で約60分
【車(一般)】都道5号(新青梅街道)・国道411号(青梅街道)で道なり - TEL:0428-83-2152(奥多摩観光協会)
- 駐車場:150台(無料)
※(ハイシーズンでは駐車場が満車、飲食店も混雑しがちです。セカンドプランもご計画することをおすすめします)