丹波山村で登山客の無事を見守る看板猫。上に羽織る和テイストのタオルは、登山客の安全を守る綿100%でできた吸収性抜群の”ヨゲンノトリタオル”だ。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、雲取山鴨沢登山口からすぐの場所にある、コーヒーとおしるこの店&雲取山グッズを販売する「山の休憩所かゑる」で10月24日、江戸時代末期にコレラ流行を予言したとされる「ヨゲンノトリ」をあしらった「雲取山手ぬぐい」(1300円)の販売を始めた。
ヨゲンノトリはカラスのような姿だが、黒と白の2つの頭を持った不思議な鳥。山梨県笛吹市にある「山梨県立博物館」蔵の「暴瀉病流行日記(ぼうしゃびょうりゅうこうにっき)」には、安政4(1857)年12月、加賀国白山(現石川県)にあらわれたヨゲンノトリが描かれている。
ヨゲンノトリが翌年に流行するコレラを予言し、「私の姿を朝夕に拝めば難を逃れることができるぞ」と言ったとされている。
如図なる烏、去年十二月、加賀国白山ニあらわれ出て、申て云、今午年八・九月の比、世の人九分通死ル難有、依テ我等か姿ヲ朝夕共ニ仰、信心者ハかならず其難の(が)るべしと云々
(現代語訳:図のような烏が、去年の12月に加賀国(現在の石川県)に現れて言うことには、「来年の8月・9月のころ、世の中の人が9割方死ぬという難が起こる。それについて、我らの姿を朝夕に仰ぎ、信心するものは必ずその難を逃れることができるであろう」。)
是熊野七社大権現御神武の烏ニ候旨申伝、今年八・九月至テ人多死ル事、神辺不思議之御つけ成
(現代語訳:これは熊野七社大権現のすぐれた武徳をあらわす烏であると言われている。今年の8月・9月に至り、多くの人が死んだ。まさしく神の力、不思議なお告げである。)
「雲取山登山者が山から無事に帰れますように」が由来の同店。雲取山鴨沢登山口そばに、登山者の拠りどころとして2016年10月オープン以来、山小屋の小屋番経験がある店主が、登山者の安全をずっと見守り続けている。
コロナ禍の中、ヨゲンノトリを知ることとなり、同館の許可を取った上で「かゑる」と「ヨゲンノトリ」をデザインした手ぬぐいが作られた。
同店の店主は「登山中の事故やけがを避けられるようにと製作した。何が起こるかわからない登山道。どうぞ山行のおともに加えてくだされば」と話す。
自家製あんこのおしるこやハンドドリップで淹れたコーヒーなど、軽食や飲み物が楽しめる同店では、手ぬぐいの他に、「ヨゲンノトリステッカー」(300円)、「ブジカエル(無事帰る)ステッカー2枚セット」(400円)も販売している。
山の恐ろしさ、楽しさを色々と見てきた店主。無事を祈る思いは誰よりも強い。
今日無事に過ごせたことに、感謝したい。
「山の休憩所かゑる」の詳細情報
- 店名:山の休憩所かゑる
- 住所:山梨県北都留郡丹波山村4877-8
- 電話:0428-85-8505
- 営業時間:8:00~18:00、月・金・土・日曜日・祝日営業(最終バス利用時は営業時間を延長)
- アクセス:青梅線奥多摩駅から丹波・鴨沢西ゆきバス「鴨沢バス」停下車すぐ
- 駐車場:店の前に1台分有。(停まっている時は、鴨沢バス停隣の駐車場へ)
- お店のホームページ