奥多摩川全域でニジマス、イワナ、ヤマメの渓流釣りが3月7日正午に解禁。多くの釣り人がこの日を心待ちにしていたかのように、軍畑大橋(いくさばたおおはし)から昭和橋付近で渓流釣りを楽しんでいる光景が見られた。
奥多摩駅近くの北氷川橋下では遠方から多くの人が訪れ、エサ釣りやルアー釣りなどで何十匹も釣っている人がおり、中には50センチ以上のニジマスを釣っている人もいた。
今となっては美しい光景が広がっているが、つい1年前までは台風の爪痕が多く残っていたはずだ。
今でも忘れもしない2019年10月、記録的な雨量で各地に大きな爪痕を残した台風19号。当時、この日原川の付近でも大木がゴロゴロと倒れていたのを覚えている。
「こんな大木がいとも簡単に倒れてしまうのか」と、当時は自然の脅威を思い知らされたほどだ。奥多摩湖も茶褐色に濁っており、流木の撤去作業など、復旧まで相当な時間がかかると思われていた。
しかし、小さな流木や崖崩れはいまだに残っているが、大木はほぼ残っておらず。透き通るほどきれいなエメラルドグリーンの川底では、ニジマスが気持ちよさそうに泳いでいる光景が見えるほどだ。復旧への強い思いが伝わってきた。
休日は多くの釣り人で賑わっているが、平日は釣り人がほとんどおらず。ただただ流れている清流の静かな音と真正面から対話ができる。なんとも言えない贅沢な時間だ。
しかし、いいことばかりではない。きれいな川の流れの中にペットボトルやビニール袋も多く浮いていたのも事実。台風19号の濁りや倒壊から復旧しても、日々の”濁り”でせっかくのきれいな清流が台無しになってしまう。それを見た人間の心もどことなく濁ってしまう。
その日は取材で河原の動画撮影を行っていたが、ペットボトルが映像に写った瞬間、思わず撮影をストップ。河原の対岸に渡り、ペットボトルを回収することにした。
自然を復旧させるのも人間。
自然を汚すのも人間。
「ゴミを捨てる人間ではなく、ゴミを拾える人間になろう」
この光り輝く光景を見て、自分自身にも強く戒めた。