東京都内の市で唯一鉄道のなかった武蔵村山市に、ついに鉄道がやってくる。
現在、東大和市の上北台駅が終点となっている多摩都市モノレールが、瑞穂町のJR八高線箱根ケ崎駅まで延伸する計画が本格的に動き出している。
東京都は、多摩地域をの南北を走る「多摩都市モノレール」の延伸事業に着手する。延伸区間は約7キロにおよび、おおむね12年後の開業を目指す。総事業費は約800億円規模に上る見通しで、都は2020年1月、新年度当初予算案に現況調査および基本設計費用として約1億円を計上した。
都心部と比べて交通網の整備が遅れていた多摩地域の発展につながる取り組みとなる。
延伸区間に7つの新駅計画
多摩モノレールは1998年から2000年にかけて多摩センター(多摩市)〜上北台(東大和市)間(約16キロ)の全線が開業した。沿線には19駅、複数の大学や大型商業施設が駅に隣接し、多摩地域を南北に結ぶ基幹交通網の一つとなっている。
延伸が計画されている区間(上北台〜箱根ヶ崎間)に新たに7つの駅を設ける計画もあり、都がすでに延伸区間沿いの新青梅街道の道路拡幅工事を進めている。
開通後はJR立川駅や私鉄の小田急・京王の多摩センター駅など主要駅への利便性向上とともに、新駅周辺の活性化などが期待されている。
多摩格差解消へ
多摩地域は23区に比べて鉄道網の不備が指摘されている。小池百合子都知事は16年の都知事選で「多摩格差ゼロ」を公約に掲げた。地元の悲願であるモノレール延伸を前に進め、格差解消につなげたい意向だ。
今回の延伸区間は、国の交通政策審議会が16年、多摩センター〜町田間とともに「事業化に向けて具体的な調整を進めるべきだ」とする答申をまとめている。都はこれを受け、東京メトロ有楽町線の延伸事業などとともに、両区間を優先的に整備していく6路線として位置づけていた。
南北の鉄道網が弱い多摩地域。多摩都市モノレールの延伸により、多摩格差が解消されていくことが望まれている。
延伸を求める会が次々に誕生
延伸構想は、多摩センター~八王子間のほか、今年11月6日に箱根ヶ崎からあきる野市までの延伸を求める市民団体「モノレールを呼ぼうあきる野の会」の準備会が発足した。
瑞穂町では今年11月8日、町内8地区により結成された「モノレールを呼ぼう瑞穂の会」が発足。町民による早期事業化への期待がますます高まってきている。
今後の動向を見守りたい。